全自動迅速同定・感受性測定装置ライサス®S4

2000年、耐性菌に効く抗菌薬をいち早く測定する国産初の全自動検査装置としてRAISUS®が誕生しました! 感染症が疑われる患者の尿や血液などの検体から微生物が検出された場合に、起因菌を調べる「菌種同定」検査、その菌が耐性菌かどうか、またその菌による感染症を治療するためにどの抗菌薬が効くのかを調べる「薬剤感受性」検査が全自動でできる装置です。

1.AMR時代の幕開け

2016年4月『薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン』 が発表されたことを受け、2017年9月、関連8学会から『抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス』がリリースされました。

<AMR(薬剤耐性)アクションプラン>

出典:「厚生労働省におけるAMRの取組」(厚生労働省健康局)
   「薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの進捗」(厚生労働省健康局結核感染症課)
出典:「抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス」(8学会合同抗微生物薬適正使用推進検討委員会)

次のAMR時代を考える

これまではエンピリック治療開始から薬剤感受性検査結果報告までのタイムラグにより、広域スペクトル抗菌薬を使わざるを得なかったのかもしれません。近年では質量分析装置の登場により菌種同定が迅速化され、アンチバイオグラムからより適正な抗菌薬の選択に移行しています。しかし、課題として院内使用抗菌薬とアンチバイオグラム掲載薬剤との乖離が挙げられています。院内使用抗菌薬での検査結果を提供するとともに、治療開始と検査結果のタイムラグが無くなれば、デエスカレーションすることもなく耐性菌の抑制に繋がるのかもしれません。

2.ライサス®シリーズの世界へようこそ!Welcome to the RAISUS® world!

“国産初”の全自動検査装置をつくろう!

「ライサス®」開発のきっかけは、1990年代後半に、抗生物質が効かないMRSAなどの耐性菌が登場したことでした。医療現場から「耐性菌の種類と、その耐性菌に効く薬を一刻も早く決定したい」という声が続々と聞こえてきたからです。また当時は、検査の自動化が進んでいたものの、装置のほとんどは外国製でした。「お客様の願いを叶える“国産初”の装置をつくろう!」こうして「ライサス®」の開発プロジェクトはスタートしました。

ライサス®誕生!

お客様の願いを叶えるため、①全自動による省力化 ②迅速な同定・薬剤感受性検査 ③CLSIに準拠した方法を搭載 ④幅広い菌種への対応 ⑤カスタムプレートの5つのコンセプトを掲げ開発し、2000年に上市しました。
また、[Rapid Analyzer for Identification and Susceptibility test]より「RAISUS®」と命名しました。

後継機種ライサス®エニー!

ライサス®の誕生から10年後、多種多様な菌種による感染症へのチャレンジとして幅広い菌種への対応というコンセプトを拡張すべく、嫌気性菌(Anaerobes)や酵母様真菌(Yeast)の薬剤感受性検査に対応する「RAISUS® ANY」を後継機種として開発し、さらにはコリネバクテリウムやモラキセラなどの栄養要求性の厳しい菌の薬剤感受性検査の対応範囲も拡張し、より多くの細菌検査室に普及していきました。

ライサス®S4‼

ライサス®やライサス®エニーのコンセプトをキープし、さらにブラッシュアップ。
Susceptibility(感受性にこだわる)、Support(充実したユーザーサポート)、Simple(簡単操作を実現)、Smart(場所を選ばない卓上サイズ)の4つのSから「RAISUS® S4」と命名しました。

【ライサス®S4装置仕様、諸元】 製造販売届出番号:13B3X90004000002

測定原理光源LED 同定:蛍光測定/薬剤感受性:吸光度測定
処理能力同時処理能力40検体
測定時間同定:3時間~
薬剤感受性(迅速法):3時間〜、(18時間法):18(24)時間
設置条件温度15〜30℃、湿度30〜80%RH(結露なきこと)
モニター液晶(17インチ、タッチパネル方式)
外部入出力USB2.0(3ポート)、RS-232C(1ポート)、Ethernet(1ポート)
寸法・重量W735mmxD760mmxH760mm、140kg
電源AC100V(50/60Hz)、10A、1kW

3.現場で抱える様々な課題を解決

『臨床医からの問い合わせが多い』

エンピリック治療では、検査結果に基づくデエスカレーションが検討されます。初期投与抗菌薬の適正を早く知りたいのかもしれません。ライサス®の迅速法を用いれば、最短3時間で同定・薬剤感受性検査結果報告が可能になります。臨床医からの問い合わせが少なくなるかもしれません。

『ルーチン業務以外が増えて手が回らない』

ICT活動やAST活動のメンバーに選出される細菌検査技師。活動資料をまとめる時間が増えているとの声をよく耳にします。ライサス®では菌液調整して試薬をセット、あとはスタートボタンを押すだけです。空いた時間をルーチン業務に、または活動資料の作成に充てることが可能になります。

『自動機器はあるけど、用手法でもやらざるを得ない』

一般細菌を対象とした自動機器が多いため、ファスティディアス菌に関しては未だに用手法で行っている施設も多く見受けられます。ライサス®ではストレプトコッカスの同定・薬剤感受性検査、ヘモフィルス、コリネバクテリウム、モラキセラ、嫌気性菌、酵母様真菌の薬剤感受性検査が可能です。業務や試薬の一元管理や客観的な判定に繋がり、細菌検査室で有効にご活用いただけます。

『アンチバイオグラムを適正なものに』

質量分析装置の登場で菌種同定時間が大幅に短縮され、初期投与はアンチバイオグラムに基づき抗菌薬が選択されるようになりました。アンチバイオグラムはご施設で使用されている検査機器、検査パネルによって作成されますが、院内使用抗菌薬と異なる施設もあります。抗菌薬適正使用のためにも、院内で使用されている抗菌薬と同じ薬剤感受性検査をした方が望ましいです。ライサス®ではご施設に合ったカスタムプレートを提供し、アンチバイオグラムの適正化に貢献出来ます。

『ヒヤリハット』

試薬、検体の取り間違えは、その後の治療に大きな影響があります。ライサス®では、バーコード管理をしているため検体の取り間違えが無いのでミスの未然防止になります。全自動なので、忙しいときなどに起こりやすいうっかりミスにも安心です。

4.お客様の声

ライサス®シリーズをご使用いただいているご施設から、感謝の声が多数届いております。ほんの一部ですがご紹介いたします。

  • ICT活動やAST活動への参加が増え、ルーチン業務を圧迫するようになっていました。RAISUS®を導入して以来、これまで人手を要していた作業を全自動で行ってくれるので助かっています。
  • ファスティディアス菌を用手法で行っていました。老眼で判定に苦労していましたが、自動判定してくれるので助かっています。
  • ESBL確定のため、もう一日要していました。RMEN2ではルーチン検査+ESBL確定までしてくれるので、時間も経費も節約出来ています。
  • 薬剤部から「使わない抗菌薬の検査は無駄」なんて言われていました。ライサス®ではカスタムプレートを作ってもらえるので助かっています。

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